こんにちは!tes です。
さて。早速行ってきましたー!!
2018/11/17より開催された三鷹の森・ジブリ美術館の新企画展示
「映画を塗る仕事」展
今回は、開催直後ながら「映画を塗る仕事」展の内側に迫ったイベントの見どころをはじめ、
“色” に執着するジブリ作品の裏側についてわたしなりに解明していきたいと思います。
新企画展示とジブリ美術館に関する予習的なブログ記事もぜひ!
【予習的なブログ記事】
ジブリ美術館)「映画を塗る仕事」新企画展示の見どころがコレだ
(道中の至る所にある案内標識が期待感をあおる..!!)
※今回のイベントテーマは色に関する専門的なものであり、ここでの記事はわたしの記憶の範囲内での解釈となるため、
実際の内容と多少異なる可能性もございます。あらかじめ、ご了承願います。
両監督の目指すジブリ作品
普段ジブリ映画を観ていて「きれいだなー」と思うことはあっても、その “色” の役割について考える方はほぼ皆無だと思います。
今回のイベントでは、そんなジブリ作品の彩りを引き立たせる “色” の役割について、事細かに解説されておりました。
映画の中での色の役割とは、その架空の世界にリアリティを持たせることと大きな関係があるとのこと。
また、動く絵に塗られた色は、限られた色数でも工夫によって、キャラクターに生き生きとした実在感を与え、
その心情をも伝えることが可能になるほど影響力が大きいとされています。
「登場人物とその日常を丁寧に描き、実写とは違ったリアリティをもたせることで、観客の心に訴えることができる作品」
故・高畑勲監督と宮崎駿監督の目指してきたジブリ作品の根幹には、色への徹底追及があったように思われますね!
色と光で心情を表現する
展示スペースの一角に飾られていた数枚の絵。
ジブリ映画『火垂るの墓』に登場する節子が、ホタルの光を目の当たりにして笑顔になるあの場面だった。
あの場面では、色と光が巧みに使用されている。
ホタルの光を見て笑顔があふれかえる節子の顔には、明るみの帯びた色が徐々に広がりはじめる。
それと同時に、明るみによって節子の丸みを帯びた顔立ちと顔にできたシワが際立ちはじめ、
節子が感動に満ちている感情を観客の心にも共感させるような色の運び方をしていた。
そう。劇中では1秒にも満たない1枚1枚の絵ですが、それらを丁寧に見比べることで微々たる色の違いに初めて気が付きます。
そして、それら1つ1つに取り入れられた色とその変化の様子は、解説されることでやっと理解できるものとなります。
自然と心に響いていたあの場面にも、そんな細かな工夫が隠されていたわけですね。
色と光で実在感を表現する
となりのトトロ中盤で登場する草壁家の庭に成った楠木の大木。
徐々に芽を咲かせ、楠木が天まで伸びていく中で、月夜に照らされた木の葉にも色の変化が表れます。
最初は黒みの多い芽の数々も、楠木として成長し、葉となって天に近づき始めることで、
徐々に月夜の青みがかった明るい葉の数々として増していきます。
それと同時に、無数の葉によって光が遮断された幹の部分は徐々に黒みを帯びた色へと変化し、
楠木の成長過程とその実在感のようなものを明暗で表現されている印象です。
劇中での楠木が成るスピードは相当早く、その明暗の変化も相当早いものでした。
その変化の速さが感じられたのは、月夜の明かりと青みがかった色で構成されていたのかもしれません。
▲ ちなみに、この場面を忠実再現したペーパークラフトがコチラ
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作品世界を豊かにする工夫
実際の作品作りにおいては、現実を写し取るための風景選びから入り、光の当て方で時刻や天候を表現したり、
物の材質や質感といったディテールさえも感じられるような色を選ぶなどの地道な工夫が重ねられてきたとのことです。
そんな工夫が感じられる場面を、例をとってあげてみます。
ネコバスは3種類いた?!
さて、同じキャラクターであっても、時間帯によって異なる肌色や配色が採用されておりました。
例えば、となりのトトロに登場するネコバスであれば、
「黄昏色」「夕方色」「街灯色」の3種類。
周囲が明るい時間帯のネコバスの車内(?笑)は暗く、黄色い毛皮の色合いは表面上にハッキリと表れています。
逆に、周囲が暗い時間帯のネコバスの車内は明るく、毛皮全体は陰に覆われたような黒みがかった色となっています。
これら2つは、前者を「黄昏色」とし、後者を「街灯色」として色設定されています。
この中間をとる(日が沈む)時間帯に採用された配色の組み合わせを、「夕方色」としているわけですね。
このネコバスの色設定と組み合わせについては、ジブリ美術館で手に入れたクリアファイルでもご確認いただけます!
水の表現には一癖あり?
水面や海中の表現は、特に難しいとの記述がありました。
なぜなら、水そのものは本来 “色” を持たない物質だからです。
そんな水の表現においては、2種類の違いが印象的と感じられました。
まず、『崖の上のポニョ』で出てくる水面の多くは、明るい水色のような色合いを採用しています。
海中の岩や水面に反射した船などは多少描かれている程度なので、キャラクターや背景を際立たせたいという意向にも感じられます。
しかし、『天空の城ラピュタ』におけるワンシーンでは、正反対のような描写があります。
パズーとシータが天空の城に到着し、ロボット兵に連れられて歩いているこの場面。
ここでは、水中に潜りこんだ動物たちがしっかりと描かれています。
これは、動物たちが水中深くへと潜る様子を目で追えるようになっていると思われますが、
このときの動物たちの色合いは黒みがかっており、元の茶色い毛皮の面影がありません。
このように、水中の様子を描く場合の多くは黒みを帯びた配色が多い印象です。
もののけ姫終盤でアシタカが祟り神に吹っ飛ばされ、シシ神の池に沈んだときもそうでしたね!
水中に焦点を当てるか否かで、配色も異なるということでしょう。
この色への工夫こそが、作品を豊かにする源なのかもしれませんね!
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レポートまとめ
最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は専門的な知識の問われる内容であったため、記述にも普段の3倍近く時間がかかりました”(-“”-)”
展示会へ実際を足を運んだ上でのわたしなりの解釈となりますが、
『映画を塗る仕事』展へ行く前の方々にとっては、少しでも期待感を高められる内容だったのではないでしょうか。
別のブログ記事では、お土産に関する投稿も上げております。
是非ともこちらもチェックお願いします!
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あらためまして、ジブリ美術館の新企画展示「映画を塗る仕事」展。
これから足を運ばれるみなさんも、思いっきり楽しんできてくださいね!
ではでは!
tes